第5 起案の構成
1 大きな構成
(1)大きな構成とは
第1,第2レベルの構成
(2)大きな構成の基本
大きく分けて,3部構成。
第1が総論,第2~第Xが本体,第(X+1)が結語。
ア 総論・結語
総論と,結語では,同じことを二回書く。
すなわち,
code:書くこと
ⅰ 説得の目的(訴訟物の存or否)
ⅱ 理由の概要
イ 本体
訴訟物が存在するor存在しないの理由を書く。
code:書くこと
ⅰ 請求原因でひとまとまり
ⅱ ブロックの流れごとでひとまとまり
ⅲ 大ブロックごとでひとまとまり
2 小さな構成
(1)小さな構成とは
大きな構成の中の構成。
「1,2」レベル,「(1)(2)」レベル,「ア,イ」レベル,「(ア),(イ)」レベルまで,ある程度の深さを持った構成。
(2)小さな構成の作り方の基本
ア 考え方
論理的に考えたときのひとつのまとまりごとに,ひとつの項目を作る。
ひとつの項目には,ひとつのまとまった内容を記載する。
項目と項目の相互関係も意識する。
イ 項目の構成例
(ア)ブロックごと。
(イ)間接事実ごと。
(ウ)証拠・証拠の評価・事実・事実の意味づけ。
(エ)テーマ・結論・理由
3 各項目内部の書き方
(1)基本原則
テーマ→結論→理由を,この順序で記載する。
(2)テーマ・結論・理由の説明
ア テーマ
その項目で論じる対象を示す。
イ 結論
テーマについての自分の立場を示す。
ウ 理由
なぜその結論となるかを説明する。
(3)テーマ→結論→理由の順序である理由
この順序は,わかりやすい文章とするためのもの。
その項目で何が書いてあるのかをまず示し,それについての結論を示し,その結論を支える理由を示す。そうすると,その記述はなんのためのものなのか,次に来るのはだいたいどういうことかについて,読み手は予測を持つことができる。
4 項目の見出し
(1)基本的な考え方
できる限り付ける。わかりやすい文章にするためと,点数が振ってある事項について言及していることを教官に示すため。
code:見出し
見出しの中に,テーマと結論(前述3(2))を入れ込むのがベター。
背信性がないことを言いたいのなら,背信性がテーマで,不存在が結論なので,見出しは,「背信性の不存在」となる。
(2)項目番号の付け方
各項目には,番号を必ず振る。
第1→1→(1)→ア→(ア)の順。
5 訴訟物の存否判断システム(第4参照)からの構成
(1)「第1 総論」「第○ 結語」で結論として記載するのは,
訴訟物存在→請求認容(原告訴訟代理人のとき)
訴訟物不存在→請求棄却(被告訴訟代理人のとき)
(2)「第2」~「第□」のレベル
権利変動ごとに書く。
すなわち,大ブロックごとに書く。
(3)その下のレベル(1,2,)
小ブロックごとを基本にする。
(4)その下のレベル((1),(2))の項目
間接事実を基本にする。
code:構成例
かなり図式的ですが,訴訟物の存否の判断システムを反映させた構成は,以下の通り。
第1 総論
訴訟物は存在する。よって,請求認容。
民法○○条で,権利が発生する。
被告は民法□□条により消滅すると主張するが,要件事実が不存在のため,消滅しない。また,仮に消滅するとしても,民法▽▽条により,消滅は障害される。
第2 権利の発生(発生も争点になっているとき)
1 権利発生の要件
民法○○条により,要件は,ⅰ,ⅱ。
2 要件ⅰの存在
(1)要件ⅰは認められる。
(2)間接事実(a)
(3)間接事実(b)
(4)間接事実(c)
(5)推認過程
(6)まとめ
要件ⅰは認められる。
3 要件ⅱの存在
4 小括
ⅰⅱが認められるので,民法○○条により,権利は発生する。
第3 消滅しない
1 消滅しない
(1)被告の主張とそれに対する反論
被告は民法□□条により,消滅と主張。その要件は,ⅴ,ⅵ。
しかし,そのうち,ⅵは不存在。
(2)ⅵの不存在
ア 間接事実(d)
イ 間接事実(e)
ウ 推認過程
エ まとめ
要件ⅵは不存在。
(3)小括
よって,消滅しない。
2 消滅の効果は障害される
(1)消滅の効果の発生障害
仮に消滅するとしても,再抗弁として,民法▽▽条で,消滅の効果は障害。
その要件は,ⅷ,ⅸ
(2)要件ⅷの存在
(3)要件ⅸの存在
(4)小括
よって,消滅の効果は障害される。
第4 結語
したがって,訴訟物は存在するので,請求認容。